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「ええっと。好きな人はできたかな」
「えー、珍しい。誰?」
前のめりに目をキラキラさせる。
「会社の上司」
「どんな人?」
矢継ぎ早に質問が続く。
「それで? どうなの? もう、した?」
こういう事には全く遠慮がない。
「何もしてないよ。二人だけで会ったことも無いし」
その答えに、ハァー、と溜め息をつかれた。
お気に召さなかったらしい。
「あのさぁー。私、飢えているの。ドキドキ、ワクワク。キュンキュンに!!」
そんな事を言われても仕方がない。
「じゃあ、百合ちゃん。コレはどう?」
口を尖らせてふざけている百合ちゃんに、私もふざけた調子で切り出した。
「あのね、私、その人に夜、時々電話でお話、読んでるの」
小さな秘密が、誰にも言わないせいで、私の心を支配している。この友人に吐き出したら、少しは楽になるのかもしれないと思った。
返ってきた答えは、
「は? 何、それ? キモい」
だった。
……御名答。
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