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杏ちゃん
一巻が終わっても、そのままサトダさんからの電話は続いている。
会社でのサトダさんは、いつもの通り、仕事に忙しい。夜の電話について、会社では未だに一切口にしない。
エルマーと竜は、もうカナリア島にいる。エルマーの家についてしてしまったら、全く別の冒険の三巻を読んでほしいと言われるかわからない。
今夜は読み終わったら、サトダさんが起きていた。
「杏ちゃん、鳥飼ったことある?」
二巻に入ったころから、急に電話で「杏ちゃん」と下の名前で呼ばれるようになった。会社では、相変わらず「二ノ宮さん」と名字で呼ぶ。
「いいえ。ペット、飼ったことがないんです」
「俺は犬だけ」
少しだけ、自分の事を話してくれる。
その時、サトダさんが会社と違って、砕けた話し方をするのが好きだ。
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