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その週もサトダさんにエルマーを読んだ。
カナリアの王様の宝箱が開けられる。
スプーンやカップが入っている。それがカナリア達のお宝だった。
お話の後も、サトダさんは寝てなくて、「なぁ。こないだみたいに別の話も聞かせてよ」
と言う。
「作り話で良いですか?」
「いいよ」
じゃあ、あなたに聞いて欲しい話を一つ。
「ある所に女の子が住んでいました。
その子は大きな箱を持っています。
その箱の奥には素敵な魔法や宝物が入っています。でも一緒に、壊れたおもちゃや、破られた本や、大暴れする怪獣も入っているので、女の子はその箱をこっそり隠しています。
お友達が来ても、その子はその大きな箱を隠しているので、一緒に遊べません。
ある時、その女の子は、一人の男の子に会いました。
女の子には、その子が同じように、なにか大きな箱を隠しているような気がするのです。
女の子はその子とお友達になりたいと思いました。その子となら、一緒に遊べる気がしたのです。
仲良く遊んでいるうちに、その男の子の箱になにが入っているのか、知りたくて、たまらなくなるのです。その男の子に、自分が箱を持っていることすら隠しているのに」
「……サトダさん」
まだ聞いているのかもわからないサトダさんに問いかける。
「お話のつもりが、クイズでした 」
静かに問いかける。
まだ何の返事もない。
「この男の子の持っている宝箱、何が入っているんでしょうか?」
寝てしまったのなら、それでいい。
寝たふりをするなら、それでもいい。
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