杏ちゃん

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 金曜の朝から仕事をしていても落ち着かない。 人事の上原さんからメールがあった。 午後時間が作れたら、少し話がしたいとのことだった。 この間言っていた何かだろうけど、何だろうか。 サトダさんとの予定もあるから、残業になる話じゃないといい。 あんまりにぼうっとしていて、課長に話しかけらて、返事が遅れた。 「二ノ宮さん。サトダ、今日、何時くらいに戻るって? 3時の会議、間に合いそう?」 サトダさんは忙しいので、課長もわざわざそういうことは本人に聞いたりしない。 「私も午後に戻るとだけ聞いてますけど。今日参加の東京支社のミーティングは、昼前までですから」 その後、サトダさんは、三時ちょっと前に帰ってきて、そのまま会議室へ消えて行った。 「吉田、これ。香川さんから」 と、なにかファイルを吉田君のデスクに投げて行く。私のほうを一瞬見たけれど、なにも言わなかった。 一応、会社帰りにご飯へ行くという風に理解しているのだけど、会議室からいったん戻ったと思ったら、またどこかへ消えていて、何時に待ち合わせなのかもわからない。 台風の様な人だ。 私も大体の仕事を終えて、上原さんに呼ばれた通り、人事部の個室へ面談へ行った。
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