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サトダさんが、ほら、バレた、という顔で課長たちを見ていた。
あんまりに男性陣が気まずい顔をするので「くみちゃんは、きんちゃんよりは、ましかもです」と言ってみる。
「中学の時は、きんちゃんでしたから」
「え?きんちゃん?仮装大賞?」
森本さんは混乱している。
「はぁ?二ノ宮だからでしょう。仮装大賞って、古くて二ノ宮さん知りませよ」
サトダさんのほうが、機転が早い。
「あ、え、金次郎? あ、あ、ああー」
森本さんが追いついた。
私がすこし笑うと、サトダさんがけけけっと森本さんを小ばかにしている。
「そういうわけで、くみちゃ、あ、二ノ宮さん、これからサトダの補助についてもらうから」
課長は給湯室にお茶を取りに来たんだろうに、それだけ言うと、お茶も取らずに、出て行ってしまった。
「すみません。コーヒー、良いですか?」
サトダさんが笑って、訊いてきた。
「あ、はい。今、淹れます」
慌てて、新しいコーヒーフィルターをセットした。
「いいですよ、俺、自分でやるんで」
そう言われたけれど、どうせ私も淹れるところだったので、森本さんと三人分淹れた。
「金次郎は、仮装大賞より古いじゃねえか!」
森本さんがサトダさんに今更、文句を言っている。
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