宵のエルマー

三木さん

　正式に異動通達が来て、三木さんへ私のやっているサトダさんのサポートを引き継ぐようにと指示があった。

あと2週間で引き継ぎをする。

「宜しくお願いします！」
三木さんが明るく挨拶してくれた。

「はい。こちらこそ宜しくお願いします」
頭を下げて、丁寧に返事をしたけれど、ふわりとスカートを揺らして、サトダさんににこやかに挨拶しに行く三木さんの姿を見て、心の中がザワつくのを抑えられない。

「サトダチーフ。お世話になります!　色々宜しくお願いします！」
三木さんが可愛らしく笑って挨拶している。

「おー。宜しくお願いします。ま、二ノ宮さんに引き継ぎしてもらったら、大丈夫だと思うんで」
サトダさんから私の名前が出て、慌ててデスクを挟んで、はい、宜しくお願いします、ともう一度、軽く頭を下げる。

仕事で迷惑をかけないように、ちゃんと引き継がないといけない。