サトダ

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サポートについて、すぐにサトダさんは噂通りすごく忙しい人だと分かった。 うちの会社は他の社員は同じセクションチーフのレベルでも、事務のサポートが一人ついている事はないようだったけど、私は3割くらい部署全体の雑務をして、7割くらいはサトダさんのサポート業務になった。 噂では、サトダさんは課長以上、ほぼ部長クラスの仕事を任されているらしいけど、課長にすると、立ち場上、今のように自由に動けないのでセクションチーフになっているらしい。 社内には、このカタカナの役職名が出来たのはサトダさんの為だという、まことしやかな噂がある。 社内の事は知らない事ばかりだったのに、入社してすぐにサトダさんについていたら、嫌でもすぐに覚えた。特に海外事業部は、営業、マーケティング、製造の全部と関わるから、社内の横の繋がりが多い。だから、覚える事が沢山で、始めの半年は必死だったけれど、サトダさんに助けられながらなんとかやってこられた。 そんな海外事業部で、エリートだと言われるサトダさんは確かに本社全体の中でもかなりのエリートだと思う。 前は営業にいて、かなり成績が良かったらしいけれど、海外赴任を二度もやって、今は海外事業部にいる。今も海外への出張も多い。 本社に次ぐ、大きさの東京オフィスにもデスクがあって、週に1,2日出向いている。 海外支店の偉い人が来ると、対応するのはだいたいサトダさんだ。 平日は忙しく働いていて、週末は社長や、専務ともゴルフに行く仲らしいから、本当にいつか役員に入るくらいのエリートなんだと思う。 本人は、その忙しさを「俺は社畜だから」と笑うので、同期に「社長にどんな秘密をつかまれているのか」と笑われている。 本当に何か訳の分からない弱みを握られているのかもしれないけど、サトダさんを見ていると、人や仕事が好きなんだろうな、というのは伝わってくる。 地元唯一の大企業であるこの会社が好きなんだろうなって。
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