三木さん

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いつもの世間話の長電話を切ってもらうようなことではない。 サトダさんが三木さんを捕まえて話を聞いている。 「すみません」 電話口にもう一度謝ると、その辺にあったメモ用紙にサトダさんが「かわる」と書きなぐって、少し苛立ったように突き付けた。 あぁ、怒ってる。 「……佐藤、今、戻りました。お電話、代わらしていただいてよろしいですか?」 言い終わる前に、そのままサトダさんが受話器を取った。 泣きそうになった。 最後でこんな風に迷惑をかけた。 私の電話で話し始めたので、デスクからすこし下がって、三木さんにお詫びをした。 「ごめんね。私の確認ミスで、スケジュール管理ミスしてしまいました。驚かせちゃったね」 「いえ、すみません。時間ずらさないとだめだね、って言ってたやつですよね。もう今週からスケジュールは私がやるはずだったのに、二ノ宮さんが調節してくれるのだと勘違いしてました」 そう言って、頭を下げてくれる。しっかりしてて、優しい。 後輩の前で情けなかった。 結局、自分のミス一つ、サトダさんに助けてもらわないと、どうにもできなかった。 もう少し、ちゃんと謝ったら、その場を収められたかもしれないけど、サトダさんに結局、助けてもらってしまった。 こんな風で、サトダさん以外のサポートができるのだろうか。
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