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定時上がりの社員さんの波をくぐって、足早にエレベーターへ駆け込む。
上がりのエレベーターを使う人は少ない。
先に乗っていた人に見られないように、うつむいて乗り込む。
早くどこかへ隠れたい。
5階を押すと、『閉』を押した。
「おい!」
閉まりかけのエレベーターを手が押し開く。
「あぁ、待ってよ」
サトダさんが乗り込んで、4階を押すと、『閉』を押す。
「すみません」
サトダさんをエレベーターに挟むところだった。
違う階に行くなら、それまでうつむいていればいい。
四階でエレベーターが開いたら、
「二ノ宮さん、どうぞ、こっちです」
と、サトダさんが、いきなりエスコートした。
「あ、はい」
他の人の手前、慌てるわけにもいかず、エスコートされるままに、ついていく。
「こっち」
促されるままに、小会議室へ入った。
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