三木さん

13/15

1751人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
定時上がりの社員さんの波をくぐって、足早にエレベーターへ駆け込む。 上がりのエレベーターを使う人は少ない。 先に乗っていた人に見られないように、うつむいて乗り込む。 早くどこかへ隠れたい。 5階を押すと、『閉』を押した。 「おい!」 閉まりかけのエレベーターを手が押し開く。 「あぁ、待ってよ」 サトダさんが乗り込んで、4階を押すと、『閉』を押す。 「すみません」 サトダさんをエレベーターに挟むところだった。 違う階に行くなら、それまでうつむいていればいい。 四階でエレベーターが開いたら、 「二ノ宮さん、どうぞ、こっちです」 と、サトダさんが、いきなりエスコートした。 「あ、はい」 他の人の手前、慌てるわけにもいかず、エスコートされるままに、ついていく。 「こっち」 促されるままに、小会議室へ入った。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1751人が本棚に入れています
本棚に追加