春のおとずれ

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今日は浩輝くんが東京へ旅立つ日。 ラインでお別れじゃ、あまりに哀し過ぎるので、空港まで見送りに来た。 十三時二十五分発の飛行機と言っていた。 検査場を抜けてしまったら会うことは出来ないので、二時間も前に新千歳空港に到着し、JRの改札口で待っていた。 浩輝くんは時間ギリギリタイプだから、早めに着いてることはないと思う。 出発時刻三十分前になって、やっと浩輝くんが改札を抜けて来るのが見えた。 浩輝くんは歌って踊れるミュージシャンではないけれど、とてもイカしたビジュアル系ロックバンドのボーカル。 グレーの髪に赤のジャケット。 まだ無名のミュージシャンでありながら、雑踏の中で一際輝いて見えた。ボーカルはやっぱり浩輝くんのままがいいと思った。 荷物は宅配で送ってしまったのか、スーツケースひとつ持っておらず、とても身軽。
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