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*潤一*
「はぁ? 政治家?」
仕事を終えてマンションに帰ると、茉理は興奮したように将来の夢を語った。
「そう、茉理、やっとやりたいことが見つかったの。もう予備校にも連絡を入れてね、来週から通うことにしたんだよん! 政治家を目指すなら、やっぱり政治経済を学んでおいたほうがいいって言われたから」
前々から変わっているオンナだと思っていたけれど、いつでも突拍子もないことを言い出す。
「まさか議員になるわけじゃないよな?」
「なるよ。いずれは立候補するつもり。そのために勉強するんじゃない」
一時的に熱狂しているだけとは思うが、こいつならやりかねない気もした。
「やめとけよ。家庭と両立できるような仕事じゃないだろ。そういうことは男に任せておけ」
どうも今まで付き合って来た女たちとは違いすぎてついて行けない。
「わぁ、意外と考えかた古いね。茉理はもっと日本を良くしたいの。みんなが幸せになれるようにね。こんな世の中じゃさ、生まれてくる子どもが可哀想じゃない」
「大事なのは自分の家だろう。俺は落ち着いた家庭が欲しいんだよ。政治家の妻なんかいらねぇよ」
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