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「あなたのお母様からはお許しが出ているの?」
お袋はいま思いついたかのように聞いた。
「はい、母も最初は反対しましたが、潤一さんを気に入ったようです」
「こんな子持ちのバツ2男のどこが良かったのかしらね? まぁ、お母様の承諾が出てるなら安心したわ。それで結婚はいつするの?」
茉理がうながすような目で俺の方を見たので、「来週、籍を入れるつもりだ」と言った。
「来週!! 結婚式は?」
お袋は素っ頓狂な声をあげ、目を丸くした。あまりに突然だから驚くのも無理もない。
「潤一さんは開業の準備で忙しいですし、私も日本にはほとんど友人がいないので。でも写真くらいは撮ろうって潤一さんが」
「そうなの。残念だわ。この子は何度も結婚しているのに、私は一度も結婚式も披露宴も見せてもらってないのよ」
お袋は憎々しげに俺を睨みつけた。
「まぁ、そのうち落ち着いたら挙げるよ。
メチャクチャ豪勢なヤツをな」
「それまで別れないでいられたらの話ね」
お袋はしらけたように嫌味を言った。
和気あいあいとまではいかないが、その後も対立することもなく、穏やかな話し合いが出来たように思う。
とりあえず結婚前に報告が出来たことは良かった。了承も得ずに結婚していたら、茉理とお袋の関係もギクシャクしたものになっただろう。
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