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「姫」
「ティア姫様」
「え?行かないに決まってるじゃん」
ポカーンと口を開けたままの残念王子達。
いやいや、むしろなんで私がついて行くと思ったわけ?確かに関わり合うことは許したけど、私の人生は私だけのものよ?
「どうしても、ですか?」
「うん」
権力闘争の中心になんか誰が好き好んで行くものですか。
というのは建前で。二人が私が嫌がることを絶対にするはずがないというくらいは分かっている。
必要以上に干渉しない。要求なんてしない。
たとえ今の私が5歳児であっても。駄犬レイならその辺りよく知っているでしょ。
単純に面倒くさい。
王都なんて人が一番密集しているところ、自由に動き回れなくてイヤじゃないの。
「ここにはママがいるもん」
たった一人の家族。
とはいえ不自然なほど私の行動に口を挟まないのだけれど。
母親は母親だし。これから先大事にできるのなら。一つ一つの繋がりを大切にしていきたいというのが今世での想い。
一人じゃ経験できないあれこれを楽しんでいけたらなぁと。
絶対に目の前の二人には言わないけどね。
「お母様と一緒に、というのは駄目ですか?」
「はぁー……これだからダケンは」
「レイヴン……」
「えっ?えっ?」
そんな調子じゃ女の子に全くモテないよ?
「姫様だけで十分です」殴るよ?
「大きくなったら必ず迎えに来ますからね。それまでは、通わせてもらいます」
「えー」
仕事しろ王子殿下。こんな田舎に何度も来てたら怪しまれるでしょうが。
「それならオレが」
「駄目だ。お前こそ来年から学校に通わなければいけないだろう?」
「……何と言う仕打ち」
崩れ落ちるレイ。
この子ってこんなに鬱陶しい子だったかしら。ずっと二人きりで気付かなかっただけなのかもしれない。
まあ逆にすごく扱い易いというところも変わっていないわね。
「学校って?」
「子供達が将来生きていく術を学ぶための場所だな」
「ちがう」
それくらい知ってるって。聞きたいのはそこじゃない。
「あ、えっと、12歳から4年間通うんです。ただお金もかかるしそれなりに相応しい子供だけしか通うことができなくて」
「ん。レイ、よくできました」
「姫様ぁ。大好きで」
「おだまり」
養成所的なものがあるのは聞いたことがあったのよね。私は独学だったけど。
同じ年頃の子達が希望ある未来へお互いに高め合うとかいう。なかなか楽しそうな話じゃない。
ただし私はこれまでの倍以上の月日を待たなければいけないのね。
……ん?そうすると?
「カーライルは?」
「俺は2年前にしっかり卒業したぞ」
「──おじさんだ!ロリコン!へんたい!」
「なっ!? 姫、誤解だ!それにまだおじさんなんて年では」
おじさんはおじさんだよ。うら若き乙女の一回りも年上だもん。いくら顔が良くたって変態には違いないんだからね。
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