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「ようこそおいでくださいました。私はメリーティアと申します。お会いできて光栄です」
ドレスの裾を持ちながら恭しく頭を下げた。正直細かいマナーなんて知らないけれど幼い子供のすることだから許してくれるだろう。
ママが喜び勇んで用意したドレスだけれど、さすがに子供らしく過度な装飾はなく動きやすくて悪い気はしなかった。
可愛くありたいと思うのは女の子の常よ。
「あの」
「ふぁっ。あ、えっと、ししつれいしましたわっ!」
「……フフッ」
「ぁっ」
まあ本物には敵わないだろうけど。
ぽーっとしていた小さな王女様にたまらず声をかけると可愛らしく慌てていた。
思わず笑ってしまうと可愛いお顔が赤く染まる。うん、素直な良い子ね。
「すみません笑ってしまって。ごぶれいをお許しください」
「えっ。あ、ああのっ、いいからあたまを上げてちょーだいっ」
「はい」
まだ幼いからなのか全然偉ぶることなんてなくて、いっそのこと迫ってみてはどうだろうかと悪戯心が芽生えてくる。
とりあえずにっこりスマイルから様子見してみよう。
「ふーっ。はーっ。ええと、わたくしはサフィリナですわ」
「はい。サフィリナ王女さま」
「あ。ち、ちが」
「王女さま?」
礼儀正しく、とすればするほど王女様がもどかしそうに何かを言い淀む。
困り顔も可愛いなと思う私は少しどうかしてしまっているのかもしれない。
「うぅ。あのね、その、ええと」
「ん。好きによんで?」
じーっと私を見つめて言葉に詰まっていたからもしかして、と。
王女様もまだ幼い子供。優しく笑いかけるとぱぁっと笑顔が華やいだ。
「じゃあじゃあ、メリーちゃんね!メリーちゃん、わたくしのことはサフィーってよぶのよ、いいわねっ?」
「はい。かしこまりましたサフィーさま」
「ちっがうのー!」
生き生きとする王女様が可愛すぎてつい意地悪してしまう。
そりゃぁ怒るよね、ごめんごめん。大丈夫、分かっているよ貴女の望み。
この純真無垢な女の子を私がしっかり守ってあげたい、そう心に決めて抱きしめた。
「うん、分かってるよサフィー。こんな私だけど良かったらトモダチになってくれないかな?」
「……ぅん。いいよ」
「へへっ。ありがと」
おずおずと背中に手を回してくれて自然と笑みがこぼれた。
「えへへ。メリーちゃん」うん。私にはたくさん甘えてくれていいからね。
小さな子供の体なんてつまらない。そんな思いを吹き飛ばす素敵な出会いでした。
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