子どもらしさってなにそれ?必要なこと?

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※※※ む、何やら今日はやけに騒々しいな。 「あ、兄様。何かあったんですか?」 「おおレイヴン。ずいぶん早起きじゃないか」 「そうでしょうか」 日の入りはとうに過ぎているのだから起きているのは普通じゃないか。 そうは思うけれど今は末の弟。おはようございます兄様と改めて挨拶する。 兄カーライルは気を良くして私の頭を撫でながら説明してくれた。 「ユーストの森でグリズリーが倒されたという報告があった」 「? あの森ならよくある話ではないのですか?」 「フッ。良く知っているなレイヴン。あの森は通称死の森。よほど名の通った冒険者でなければ足を踏み入れない所だ」 つまりは調査するにも国に所属する騎士団、あるいは高ランクの冒険者にしか出来ないということ。 カーライルが動くということはそういうことだ。 「察しが良いな、レイヴン」 「いえ、まだまだ兄様の足元にも及びません」 「フッ」 上出来だと頭を撫でる辺りは弟なんかに抜かされる気はさらさらないということだろう。 私も、年長者がこう優秀であって運が良かったと思うのだ。 「褒美として教えてやろう。グリズリーを倒したと自ら名乗り出た者は今現在皆無。そしてその獲物も回収されることなくほとんど大きな傷もないまま放置されていた、という話だ」 「それは、奇妙な話ですね」 「そうだ」 基本、強い魔物は倒すことそれ自体が非常に重要な意味を持つ。 魔物そのものの脅威もさることながら、奴等はなかなかに得難い体躯を武器としているからだ。 持ち帰り武具の素材として、あるいは貴重な食材として、はたまた未知なるエネルギーとして。 討伐したことによる報酬、そして数多の戦利品を簡単に放棄するなど人間の身では考えられないのだ。 「フッ。悩まなくとも良いレイヴン。新たな脅威の発生というのは死体の状態からして考えにくいだろう」 「そう、ですね。確かに兄様の言う通りだと思います」 魔物対魔物ならもっと無惨なことになる。というか弱肉強食の世界、とうにグリズリーは喰らい尽くされていなければおかしいから。 「話の通じる相手だとは思うがな。しかし、想像通りの力を持つならば交渉の席に着いてくれるかどうかさえ……」 「兄様?」 「フッ。案ずるな弟よ。如何なる難題であろうとも自慢の兄が解決してみせよう」 「はいっ。兄様ならきっと大丈夫です!」 頼もしい兄を持って何より。 しかしだ。私も彼に悟られるようにこの件の調査に乗り出さねば。 ちらほらと予感させるものはあったからな。そしてこの一件だ。 私の予想が正しいならば、この出来事にはあの方が関わっているに違いない。 どんな姿になろうともこの私は絶対に貴女の味方です。 ──そして今度こそ、()が貴女を必ず幸せにしてみせます。
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