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しかししかしよく考えると、だよ?
友達がほしいと言ったって今の私はたったの5歳児。読み書きだってまだまだ覚束ないハナタレちゃんですよ?
……うぅ。早く歳を取りたいなんて思う日が来るなんて。
こほん。ええと、つまりだね。
私に見合うお友達なんていうのはどう考えても大きなお友達しかいないんじゃないかなってこと。
フレアちゃんも決して悪い子じゃなかったけど、すぐにむきになったりして子供心はちょーっと面倒くさいと思ったのだ。
というわけで私は神童と言う名のぼっちな少女時代を過ごすのだ──はぁ。
「いいもんいいもん。わたしのことを分かってくれる人がぜったいあらわれてくれるもん」
あの子みたいな良い子がね。きっとね。
まあでも。あの子も私だけ、私以外認めないみたいな感じだったからある意味私達はすごく似ていたのかもしれないね。
「もしもし」
「あの子もおんなじ。って、それじゃぁダメだよぅ」
「もしもし。小さなお嬢ちゃんや」
「おなじあやまちはくりかえさない。てっそくです」
「むむ、難しい言葉を知っておるな。偉い偉い」
「えへへー」
同じ技を2度食らうなんて絶対にやっちゃいけないことですよね。
貴方も分かります? うん。そうなの。
「はわっ。えぇと、おじさんはどなたなのです?」
「ようやく気付いてくれたみたいだね。こんにちは、初めまして」
「こんにちはー。って、知らない人によろしくしてはいけないって言われてるのっ」
「フフフ。そうだね、お嬢ちゃんは小さいのに偉いね」
それは当然、この私ですから。ふっふっふ。
なーんて。しょーもないことに調子に乗ってる場合じゃないってば。
薄ら笑いを浮かべ近付いてくるおじさん。何さ、気持ち悪い。
にしてもさ。幼くなると普通の大人の人でもこんなに大きく見えるものなんだね。
もちろん怖くなんてありませんが。私を誘拐しようだなんて500年早いよっ。
「賢いお嬢ちゃんへのご褒美にイイモノをあげようと思ってね」
「ぷぇ。いらないの」
「──っ。そう言わずにさ、きっと喜んでくれると思うんだよ。遠慮せずにもらっておくれ」
「いらないのはいらないの」
「なん、だと。せっかくこの私が素晴らしいモノを授けようと言っているのに、あり得ないことを」
薄暗く静かな路地裏。
かくれんぼするにはピッタリですかね。まあ私の場合はただ迷っただけなんですけど。
縦にも横にも倍以上大きなヒト。息を荒げて、暑苦しいし臭い。
自分が絶対優位だと勘違いして。両手を振り上げ襲いかかってきた。
「きちゃない、や!」
「ぐふぉ!?」
やめてよもう。絶対移るじゃん、触らないでよ。
触りたくないから風の魔法を使っちゃった。心境的には切り刻みたいとこだけど、圧で飛ばす程度に。
ぶよぶよに出っ張ってるそこと、ぎとぎとになっていそうでぺしゃんこになってるそこと。
とにかくもう吹っ飛んじゃえって。アレもコレもクサイもぜーんぶ。
だってだって生理的に無理なんだもん。
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