743人が本棚に入れています
本棚に追加
Chapter7☂︎*̣̩・゚。・゚
◇◆◇
新しい年になり、ハルさんのマンションに帰ってきてから一週間ほどが経った。
期末試験が近いこともあり、リビングで勉強をしていると、ハルさんが帰ってきた。
「夏怜ちゃん!」
彼はいつにもまして嬉しそうな声で私の名前を呼ぶ。リビングにやって来たハルさんに「お帰りなさい」と言うと、いきなり後ろから抱きしめられた。
「デザイン案通ったよ。まだまだ修正はかかるだろうけど、夏怜ちゃんと考えたあのデザインが本当に形になるよ」
「おお。おめでとうございます」
私は持っていたシャーペンを机に置き、抱きしめられたままパチパチと拍手する。そして言う。離してください。
ハルさんは私の訴えを華麗にスルーして続ける。
「商品化したら夏怜ちゃんにも一式プレゼントさせてもらうね」
「いいですよそんな高価なもの。この前もらったネックレスですら使いこなせていないのに」
「それは今だけ。社会人になったらジュエリーを付ける機会も多いと思うよ」
「そんなもんですか?」
「そんなもん。それに……」
彼はようやく腕を緩めてくすりと笑う。
「僕の妻になったら、もっと着飾らなきゃならないかもよ?」
「つま……」
「気が早い?悪いけど君を逃がす気は微塵もないからね?」
「逃げませんよ」
私のその言葉を聞いて、彼は満足そうにうなずいた。頭を撫でて、「勉強の邪魔してごめんね」と言い、台所へ行く。
まったく、本気か冗談かわからない。
彼は冷蔵庫から家政婦さんが作った料理を取り出し、ダイニングテーブルに並べる。
「テストいつ?」
「今月末から2月にかけてです」
「そっか。じゃあ明日時間ある?」
最初のコメントを投稿しよう!