Chapter1☂︎*̣̩・゚。・゚

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「すみません。ありがとうございます」 「いや、こちらこそ傘ありがとう。気を付けて帰って」 「はい」  また会釈して、今度こそ歩き出す。  良いことをしたつもりが、落とし物をして呼び止められたのでは少し格好つかなかったかな。というか、よく考えたらそもそもあんな高そうなスーツを着ている人なら、私が買ったような安物じゃなくてもケチらず買っているか。  そう思うとやはりこれもお節介だったかもしれない。  だけどまあ良い、どうせ再び会うことはない。たとえどこかですれ違ったとしても気が付かないだろう。  私は折り畳み傘にぼたぼた当たる雨粒の音を聞きながら帰路を急いだ。
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