城門

3/3
前へ
/24ページ
次へ
 お披露目の儀も終わりちかく、王子は妃に耳打ちしました。 「お見えになっているか」 「彼処(あすこ)に、お母さんが」  娘はあやまたずに母親の隠れている物陰を指しました。顔がすっかり変わっていても、ひどくみすぼらしい(なり)をしていても、ひと目で母親だと分かったのです。  王子は背後にいた衛兵に声をかけ、物陰にいる女性をあとで門前へ連れてくるよう命じました。 「くれぐれも丁重に扱うのだぞ」  衛兵は腰の剣を鳴らして敬礼すると、広場へと降りていきました。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加