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お披露目の儀も終わりちかく、王子は妃に耳打ちしました。
「お見えになっているか」
「彼処に、お母さんが」
娘はあやまたずに母親の隠れている物陰を指しました。顔がすっかり変わっていても、ひどくみすぼらしい形をしていても、ひと目で母親だと分かったのです。
王子は背後にいた衛兵に声をかけ、物陰にいる女性をあとで門前へ連れてくるよう命じました。
「くれぐれも丁重に扱うのだぞ」
衛兵は腰の剣を鳴らして敬礼すると、広場へと降りていきました。
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