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女神は、娘に笑顔を向けました。
「おまえの母はつよい。自らの意志で、魔女に抗い続ける道を選んだのだからな」
「お母さんが不幸でいるのはいやです。どうにか、なりませんか」
娘は涙ながらに訴えましたが、女神は手で払うような、つれない仕草をしました。
「母親のことを思うなら、望みどおりにさせてやるのも愛であるぞ。せっかく身代わりになったものを元に戻したとて、おまえの母はけして喜ぶまい」
女神は十分に語り終えたと思ったのか、泣いて床に突っ伏す娘を置き去りに、姿を消してしまいました。それ以降、娘の前に姿を現すことはありませんでした。
呪いをかけられた娘は、神司たちに引き取られました。女神に縁ある者として、社で育てられることになったのです。
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