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王子
月日が流れました。
娘は女神の社でけんめいに働き、学びました。呪いの半分をわが身に引き受けて行方をくらました、母の望みは、ただひとつ。娘はどうしても幸せにならなければと、死にものぐるいで努力しました。
そうして十八になるころには、古今の事物に明るく、礼儀正しく、働き者と、国中で評判になっていたのです。
娘はまた、女神の再来と称えられるほどの美貌を持っていました。評判が評判を呼び、領内のみならず隣国の貴族や王族までが、押しかけました。
うわさは風に乗って、王子の耳にも届きました。運命の糸に導かれるかのように、彼はまだ見ぬ娘に心ひかれ、人から話を聞いたり、絵姿を取り寄せたりしました。そのうちどうしても会いたくなって、わずか二人の従者を連れ、城を抜け出したのです。
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