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紺色のハチマキの彼
きついよ。
疲れたよ。
喉がカラカラだよ。
頭も熱いよ。
っていうか全部が熱い。
もう嫌だ。やめたい。楽になりたい。早く終わってくれ。
「頑張れ!あと少しだよ!」
その声は凄く遠くから聞こえた。気持ちいい夢の中から叩き起こしてくる声みたいだ。
目の前には上り坂がある。こいつを上り切ればこの地獄から解放される。早く終わらしたい。
見上げると、その残酷な傾きと途方のない長さに絶望する。坂の頂上で長閑に構えている青空が憎らしい。
もう無理だ。何でこんなきつい思いをしないといけないんだ。いっそのこともうやめようか・・・いや、でもそんな無責任な事はできない。独りで走っているわけじゃない。ここまで仲間が走ってきた。その想いも背負ってるし、次の中継所で待つ賢人にこの想いを届けないといけない。
その賢人はこの坂の向こうで待っている。賢人に繋がないといけない。この、肩に掛かっているタスキで繋がれた想いを──────。
その時、背中に気配を感じた。
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