紺色のハチマキの彼

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 バイクから降りた父が係員に怒られている。そのバイクのサイドカーには黒い柴犬がいる。舌を出して恍惚な顔でユニフォーム姿の男に頭を撫でられていた。  紺色のハチマキ。  僕を抜いた美しい走りの選手だった。  楽しそうに柴犬を撫で続ける彼は、さっきまで走っていたとは思えないほど涼しい顔をしていた。  
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