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「朴山さーん!」
赤石が2組の教室の入り口で手を振ると、一時間目の授業の支度をしていた朴山が、わざわざ手を止めて駆け寄ってきてくれた
「こちら、同じクラスの越野くんと鋏くん。なんか神社のことが知りたいみたいで、連れてきたの」
朴山は、二人をチラッと見て
「はじめまして」
と、うつむきがちに言った
「はじめまして。僕ら第二小で、町のことあまり知らないから、第二小の後輩のために町の歴史とか地理とか調べてて…」
自分の口からこんなにスラスラと嘘が出るとは、駿太は思ってもいなかった
朴山が赤石に何かを訴えるよな視線を向けた
赤石は「本当だよ」とでも言うようにうなずいた
それを受けて安心したのか、朴山は、
「わたしでわかることなら…」
「今日放課後に実際に行ってみようと思ってるんだけど、あらかじめ情報がほしくて。朴山さんが神社のことで知ってることを教えてほしいんだけど…」
漠然としすぎたかな、と駿太は不安になったが、朴山は「ええとね…」と話し始めた
「うちの神社の歴史は古くて、何百年も前からあるって、おじいちゃんは言ってる。来月、お祭りもあるよ」
駿太と昴流は顔を見合わせた
「そうだ。祀ってある神様って知ってる?」
それを聞いてくると、フフに約束した
「コノハナチルヒメ。うちに絵があるよ」
コノハナチルヒメの名前を聞いて、駿太の胸が高鳴った
フフが言っていた神様の名前だ
「絵って見れる?」
「うん。うちにあるし、掛け軸だから」
「見せてもらえない?!」
駿太の食いつきに、朴山は赤石に救いを求める視線を投げかけた
「鋏くんわたしもついていっていい?」
明石が言った
「もちろん!朴山さんがいいなら」
早く帰ってフフに知らせたかったが、コノハナチルヒメの絵の写真でもあればもっと喜ぶだろう
駿太は逸る心を押さえきれずに、そわそわした気持ちで授業を受けた
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