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変わった匂いを嗅ぎ付けて
駿太はいつものように、フフの隣に腰を下ろしてその顔を抱き寄せた
フサフサで、お日様と獣の匂いがする
駿太はこの匂いが好きだった
神社に寄ったため、昨日より遅い時間になっていた
ヘッドライトをつけて走る車が、徐々に増えてきていた
フフの涙が止まったら帰ろうと思って寄り添っていると、急にフフが鼻をヒクヒクとさせ、駿太の匂いを嗅ぎ出した
「おや?お前、変わった匂いがするな。ははあ、男色家だったのか」
「へっ?!」
いきなり自分の性嗜好を暴かれて、駿太は頭が真っ白になった
「なんで…」
「俺は鼻がいい」
「でも、いきなりすぎない?」
「なんだ?違うのか?」
「違う…」
そう言い切れる自信はない
生まれてこのかた、好意の対象として男友達や男性教師を意識することはあったが、女性を意識することはなかった
駿太が膝を抱えてうつむいていると、フフがくるっと空中で一回転して、豊かな白髪を蓄えた少年の姿に変身した
「フフ、人間になれるの?」
「月の光が強まれば、このくらいのことは造作もない」
「なんかかっこいー…」
駿太はフフの柔らかい白髪を撫でた
フフは犬の姿の時にいつもやるように、駿太の手に頬をなすりつけた
そしてそのまま、駿太に体重をかけて押し倒した
「俺の鼻を疑っているな」
「ええ…?!」
「自分でわからないのなら、確かめてみるか?」
「へ?」
フフは駿太の上に跨がって、尖った爪で学ランのボタンを外した
時折チラリと見える舌は肉厚で長い犬の舌だ
露になった駿太の胸にフフがその舌を這わせた
「あっ!」
駿太は雷に打たれたような刺激を感じて体をのけぞらせた
コリコリとした舌の先端で乳首をもてあそばれた
「あっあっ」
「俺の姿を見ろ。男か、女か」
「お、おとこ…のこ」
「男の俺に抱かれて喘いでいるお前はなんだ?」
「おとこ?」
「だな。ならお前は男色家だ。もしくは両刀だが、あいにく俺は女には化けられぬ」
「そうなの?」
「当たり前だろ。俺はオスだからな」
「さっきは何でもなれるみたいなことを」
「言ってない」
「言ってなかった、ね」
駿太は、乳首に感じていたぞわぞわが、下半身に移動したことに気づいた
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