【完結】このアパートで犬を飼うべからず

一〇一

それは確かに少しは気になる。
だけど、基本的には気にならない。

俺はさっきまで誰がこのアパートで犬を飼っていようが知ったこっちゃないと思っていた。
だから、俺は本当はルールを無視することは気にならない。

みんな大人なんだからルールは無視してもいいと思っている。
だから、基本的には柄本さんが他人の家の郵便受けを覗こうがどうでもいい。

ルールを守るか、それとも無視するか。
どちらを選ぶかと聞かれたら、俺は無視する方を選ぶ。

ん？

ということは、一番このアパートで犬を飼っていそうなのは俺なのか？

いやいやいや。
そんなこと考えてもしょうがない。

とにかく、俺は飼い主を見つけるか、昼になるまでは柄本さんに付き合うだけだ。
あと三時間が過ぎるか、残り六部屋を確認するか。
どちらでもいい。

俺は基本的には誰がこのアパートで犬を飼っていようが知ったこっちゃないのだ。