16人が本棚に入れています
本棚に追加
柄本さんは郵便受けを確認し終えたのか、溜め息を一つついた。
柄本さんは一体何を確認していたんだ?
「ペット用品のチラシでもあるかと思ったが、ダメだね」
あぁ、ペット用品のチラシを確認していたのか。
考えてることは分からないが、何を確認していたのかは分かった。
俺はふと思った。
そもそも一体誰がこのアパートで犬を飼っているのか、家主に真相を聞けばいいのでは?
俺はそう思い、思わず口にした。
「柄本さん、そもそも家主さんに誰がこのアパートで犬を飼っているのか聞いたらどうですか?」
柄本さんは思い切り頭を振った。
「ダメだ、それだと意味がない」
意味がない?
って何?
むしろ、家主に聞かないでいる方が意味がないのでは?
俺は言葉にならなかった。
柄本さんに抵抗する気力が段々と失せてきた。
事態が終わってくれれば意味なんてどうでもいい。
そう考えていると不意に後頭部に視線を感じた。
俺は視線が気になって後ろを振り返った。
しかし、後ろには誰もいなかった。
最初のコメントを投稿しよう!