一〇一

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気のせいか? 今、誰かに見られていたような・・・。 俺は視線のあった方を確認しながら歩いた。 一〇一号室は柄本さんの家。 一〇二号室は誰の家か分からない。 一〇三号室もやっぱり誰の家か分からない。 誰!? 今、誰かと目が合った。 一〇四号室の住人が確かに小窓からこちらを見ていた。 しかし、小窓はすぐに閉じられた。 髪が長く、細い顔。 「すいません。ちょっとお話し出来ませんか?」 俺は一〇四号室の前に駆け寄った。 一〇四号室の住人からの返事は無かった。 「今までの話聞いてたんですか?」 俺は一〇四号室の住人とコミュニケーションを取ろうとした。 「い、犬は飼ってません」 小窓の奥から若干震えるような、ひきつった声が聞こえた。 犬は飼ってないだって? やっぱり今までの話を聞いてたんだ。 俺は表札を見た。 しかし、表札には名前が書かれていなかった。 何て声をかけたらいいんだろう。 俺は迷いながら、中の様子を窺った。 ドアを開けてくれないかなと思ったが、 全く開く様子が無かった。
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