16人が本棚に入れています
本棚に追加
気のせいか?
今、誰かに見られていたような・・・。
俺は視線のあった方を確認しながら歩いた。
一〇一号室は柄本さんの家。
一〇二号室は誰の家か分からない。
一〇三号室もやっぱり誰の家か分からない。
誰!?
今、誰かと目が合った。
一〇四号室の住人が確かに小窓からこちらを見ていた。
しかし、小窓はすぐに閉じられた。
髪が長く、細い顔。
「すいません。ちょっとお話し出来ませんか?」
俺は一〇四号室の前に駆け寄った。
一〇四号室の住人からの返事は無かった。
「今までの話聞いてたんですか?」
俺は一〇四号室の住人とコミュニケーションを取ろうとした。
「い、犬は飼ってません」
小窓の奥から若干震えるような、ひきつった声が聞こえた。
犬は飼ってないだって?
やっぱり今までの話を聞いてたんだ。
俺は表札を見た。
しかし、表札には名前が書かれていなかった。
何て声をかけたらいいんだろう。
俺は迷いながら、中の様子を窺った。
ドアを開けてくれないかなと思ったが、
全く開く様子が無かった。
最初のコメントを投稿しよう!