一〇一

8/175
前へ
/175ページ
次へ
第三の道・・・老人の家を見る? 俺は急に頭に浮かんだ考えを自分で検討し、一番あり得ない選択肢だと思った。 俺には老人の家を見るなんて選択肢はない。 なぜなら俺の成功から一番遠いからだ。 老人の家に何かビジネスのヒントが転がっていて、それを機に俺は会社で出世して、同僚を追い越し、大成功を収める。 ・・・なんて筋書きはまったく見えなかった。 第一、老人の家に転がっているビジネスのヒントってなんだ? ビジネスのヒントが?この老人の家に?・・・ないない。 俺は短時間で合理的な答えを見つけ、一つの選択肢を排除した。 「じゃぁ、仕方ない。これからあなたについて行ってもいい?」老人はニヤッと笑った。 え?! 「ほら、あなたがルールを守る人かどうか・・・ね?」老人はさらに理解し難いことを言った。 俺がルールを守る人かどうか見て、俺がアパートで犬を飼っているかどうか判断すると言うのか。 はっきり言えば、この老人の方がこのアパートで犬を飼っている奴より鬱陶しかった。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加