見知らぬ女性

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見知らぬ女性

「ねぇ、覚えてる?…」 「…」  家から飛び出して来て、安いコーヒーチェーンに入り、温かいコーヒーを飲んで一息ついていた。さっきの彼女との言い争い事を、ぼんやりと考えていた時、見知らね女性から、急に声をかけられた。 「お久しぶりね…」 「…」  その女性は、私が座ってる2人掛けのテーブルの前の席に座って来た。私は、びっくりして、顔を見た。全然、誰だか、わからなかったが少し冷静になり、とりあえず挨拶した。 「お久しぶりりです…」  見た感じ、私よりだいぶ年上の30後半くらい、肩までの少し茶色く染めた髪はボブで、服装は、カジュアルなブルーのシャツと花柄のスカート、靴はスニーカーで、首元にはゴールドチェーンをしていて、ペンダントヘッドには赤い石がついていた。真っ赤な口紅が印象的で、ちょっと派手な印象だ。 「元気そうね…久しぶりにちょっとお話していいかしら…」 「はい…どうぞ…」 「じゃあ…飲み物を買ってくるけど…何か飲む?」 「いえ…大丈夫です…」  その女性は、持っていたふたつのバックのうち、大きい方のバックを椅子に置き、小さい方のバックだけ持ち、コーヒーを注文するところに向かった。    この隙に、この女性を思い出さなければと思い、頭をフル回転させた。 『仕事関係…こんな感じの人いたか?…それともセミナーか?…、おれと話をした事あるのか、やけに親しげだったな…飲みに行った時に知り合った人かな…』  彼女は、温かい飲み物を買って戻ってきた。また私の前の席に座り、砂糖とミルクを入れて飲み始めた。私は、思いきって切り出してみた。 「最近…お酒、飲んでますか?」 「お酒?…仕事が終わるのが遅いから…家で少し飲むくらいかな…」  飲み屋で会った人ではないなと思った。やっぱり、仕事関係だろうと思った。 「お仕事は、相変わらず、お忙しいのですか?…」 「そうよ…ほんとこき使われてるわ…残業だらけよ…」  でも、今日は、平日だから仕事の日じゃないのかなと思った。 「今日は、お休みですか?」 「いえ…夜勤明けよ…ところで、もう大丈夫?」 「えっ、あっはい…」 「何か、他人行儀じゃない…覚えてる?…凄く心配してたんだから…」  夜勤明けと凄く心配していたで、頭の中に、ある人の名前が浮かんできた。
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