恐山

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幼い頃恐山は怖い場所だと思いこんでいた。 霊がウヨウヨと往来しているのでは、という恐怖感満載物件。 そこには『極楽と地獄の分かれ道』というのぼり旗が立つ。 長じてからはスピチュアル的で神聖な? 白魔術的? な方向にイメージが変わっていった。 もちろん全て勝手な思い込みである。 ここずっと思い込みが8割で生活していて、訪れた時もすでにその傾向は顕著だったのだ。 この前の項で三内丸山遺跡について書いたが、 はるばる青森にいったのはメインが恐山で、帰りの飛行機までの時間つぶしに 遺跡を訪ねた、というのが本当のところだ。 恐山にはもちろん、イタコさんに会いに伺ったわけだ。 死者の霊を呼び寄せるという、口寄せをお願いするためである。 それにしても思い込みというのは恐ろしいものだ。 あの夏、空港から1時間強あれば、多く見積もっても 90分あれば、余裕で着くと思っていた。恐山。 ところが、まったく着かないんですねえ。 浅虫温泉を通り過ぎた頃は、まだ「おお、ここに今夜泊まるぞ」とか やる気があったのだが。 むつ市76キロ などという道路標識の数字の部分が全く減らないので 閉口しながらも、いざ市街地を抜けると荒涼とした原野が迫り 本州の北の果てに来たのだという、寂寥感と漠然とした恐怖感に 夏だというのに背筋が冷たくなったものだ。
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