憧れと現実。私たちの未来

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「本当に仲が良いですね」 「ひゃぁ!?」 「当然です。俺とアオイの仲ですから」 音もなくスッと現れるメアリーさん。メイドさんにステルス技能は基本なの? そして、さっきまで真っ赤になってて今も少し赤いままだけど、言わなくても良いことを堂々と宣言するソラくん。 ダメだこの人。私がちゃんとコントロールしとかないと。 「さっきはほっぺただったけどこれから毎日必ずキスしような。よし、まずはおはようのチューから」 「もう黙って。これ以上余計なことを言うならソラくんとは話さないから」 「ぇっ──」 懲りないね本当に。 男の子になったソラくんの望みがこれって。いやまあ、ねぇ? 嬉しいも恥ずかしいも通り越して今はただただウザいですね。 「メアリーさん、もしかして朝ごはんですか?」 「そうです。ただ昨晩のように陛下達と一緒にではありませんけど」 「いやいや大丈夫です。こんな小娘相手に、とんでもないですよ」 「ふふっ。そうですか?」 「そうなのです。メアリーさんがわざわざお世話してくれてることだって畏れ多いことなのです」 「ふふふっ」 私だってちゃんとできるもん。 メアリーさんは美人さんで物腰の柔らかい人で優しい人だもん。ぜひ仲良くしてくださいです。 「私はこんなに可愛いお客様に付くことができて嬉しいですよ?」 「えへへ。メアリーさん大好きです」 思わずぎゅーっと抱きついた。 柔らかくてあったかくて、頭をなでてくれて。本当に女の子で良かった。 「えっ、ちょっ。まさかの置いてけぼり……」 これくらい当然。ちゃんと反省してくるの。 「こちらが食堂になります。主にここで働く使用人が使っていますが、一般の方にも開放しているんですよ」 「ふわぁ」 「位の高い人はご遠慮願っていますけどね。このような場所で申し訳ありません」 「ううん、こっちがいい。だって私たちはふつーに一般人だもん」 「ふふ。それは良かったです」 テーブルマナーとか全然知りませんからね。 お客様として丁重におもてなししてもらうのは昨日だけで十分すぎたから。 私たちは今日ゼロから頑張っていくの。 「メアリーさんはもう食べちゃった?」 「いえ。迷惑のかけない範囲で出来るだけお二人と共に行動するよう指示を受けてますので」 「……王妃様?」 「ふふ。そうですね」 「えへ。あとでちゃんとお礼しないとだね」 本当にお母さんみたいです。 って、一般人が王妃様相手におこがましいかな。でもきっと、アマレナお母さんにそんなこと言ったら逆に怒られちゃうんだろうな。 遠慮せずにたくさん甘えてきなさいって。 「お会いになられますか?」 「ふぇ? えぇと。ううん、大丈夫なの。あんまりおジャマしたらダメだから」 とっても偉い人で忙しいはずだからね、っていうのは建前で。 次に会う時は本当に娘として思ってもらえるように、しっかり自分で生きていけるよう強くなってからね。 まあ、お二人には全部お見通しかもしれないけどね。 「分かりました。私にも微力ながらお手伝いさせてくださいね」 「メアリーさんがいたら元気100倍なのっ」 「ふふふ。それではアオイさん、何を食べますか?色々揃っていますよ。朝なので軽く、甘いものにしますか?」 「うんっ!」 パンケーキにミルクココアでじゅーぶん心もお腹も満たされるの。
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