第1章/猫又男子のお仕事探し

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 物騒チンピラ狐さん――篠崎さんに連れていかれたのは屋台だった。観光案内でよく使われているキャナルシティ近くの中洲の屋台ではなく、福岡天神駅から西に向かって舞鶴辺りまで行った場所にある屋台だ。  夕暮れ時、ビルの明かりや車のヘッドライトが明るいと感じ始める時間帯。温かな屋台の明かりが、行き交う人々の合間に建てられ始めている。すでに美味しそうな匂いが立ち上っている店も見受けられた。  普通の商業施設の合間に屋台がぽつぽつとあるのが、なんだかちょっと面白い。 「へー……こんなところにも屋台ってあるんですね」 「は? あんた福岡の人間だろ?」  物珍しくてきょろきょろする私に、先を行く篠崎さんは振り返った。 「姉ちゃん、あんまり天神うろついたことないの?」 「まあ、学生時代は門限がありましたし家の近くでバイトしてたし……就職してからは帰りは終バス後ですし」 「終バス後だぁ!? 午前様超えてんじゃねえか」 「はは……」  連れられて入った屋台は少し離れた場所に位置していた。  篠崎さんは長身をかがめて暖簾を捲り、中の人の好さそうな大将とは顔見知りのようだ。
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