67人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「こんなにおいしい屋台に連れて行っていただいて、さらにごちそうまでしていただいてありがとうございます。篠崎さんのことも、猫又のことも、今日の事は絶対誰にも言いません。約束します」
篠崎さんがにやりと笑う。
私は汁を飲み干し、奥に引っ込んだ大将に向かって声をかけた。
「ごちそうさまでした! 次は友達を連れてきますね」
「ん~、人間の子は来られないよ」
奥から出てきた大将にひゃっと声を上げそうになる。
「カワウソ!?」
出てきたのは前掛けをつけた大きなカワウソだった。
ふかふかの毛並みのカワウソは、声は先ほどまでの大将の声をしていて、大きさは170cmくらいありそうだ。
カワウソのおじさんはふかふかとした手をぱたぱたと振る。
「嬢ちゃん違うよ、カワウソじゃないよ、おれは河童だよ」
「河童!? 河童って、あの緑で、てんちかの泉にいるようなアレじゃないんですか!?」
私は天神地下街の泉に設置してある河童のオブジェを思い出す。きらきらと輝くプロジェクションマッピングの中で遊ぶ河童は、あの頭にお皿がある、河童といえばすぐ思い浮かぶあの姿をしている。
最初のコメントを投稿しよう!