第1章/猫又男子のお仕事探し

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「ああ、大名の喫茶店がちょうど手伝いを探していたよ。チェーン店じゃないし、店長も京都の人であやかしに理解があるし、店も長いし、ぴったりなんじゃないかな」  川副さんがすっと、瀟洒な喫茶店のチラシを出す。 「マスターも、篠崎社長のことは知っていたよ」 「おっ、他県から来た人に知られてるのは有難ぇな」 「営業時間の後でいいなら、話を聞きたいってさ」 「そこまで話をつけてくれてると助かるよ。恩に着る」 「いやいや~、あやかしが住みやすい街になるのはウチも嬉しいからねぇ」  篠崎さんはタブレットを取り出しさっそく予定を入れている。  あやかしという普通じゃない存在でも、普通の人のように仕事をしたり、就職したりしてるんだなあと思うと不思議な気持ちだ。  ――もともと人間に生まれて、普通にうまくやれない私って、なんだかなあ。  私は溜息をそっと飲み込んだ。
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