第1章/猫又男子のお仕事探し

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 私と彼はそのまま地下鉄天神駅のホームへと降りていく。  そこは、帰路に就く老若男女であふれていた。 「あんた、どこまで? 俺は博多」  「私は香椎です」 「んじゃ同じ方向だな」  私も彼も同じ方向に乗るので、一緒に並んで電車を待つ。  相変わらず周りの視線がちらちらと、彼と私の両方に向けられた。  中洲川端駅にも留まる電車なので、もしかしたら同伴出勤に見えてるかもしれない。  うう、目立ちたくない……。  背中を丸めていた私をしばらく見ていた篠崎さんが口を開く。 「姉ちゃん――いや、井ノ中さん」 「はい」 「単刀直入に言う。あんたは巫女の素質があって、更に霊力がだだもれだ」 「だだもれ……」 「あやかしからみりゃあ、素裸(すっぽんぽん)で全身にヘンな薬塗りつけて踊ってるような状態だ」 「さっきから思ってましたけど、それセクハラじゃないんですか?」 「喩えが下手で悪いな。ただ――その霊力を抑えねえと、あんたは延々とあやかしに絡まれ続けるぞ」 「えっ。そんな……」 「俺のところで働かないか?」 「え?」 「転職活動中なんだろ? まあ、見てみてくれ」  彼は私にタブレットの画面を見せる。そこには求人票が一面に表示されていた。
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