第1章/猫又男子のお仕事探し

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「うん、処分しておいたよ」 「えっ!?」 「うちの会社、君がいないと回らないんだよ。君もうちのチームの一員なの。わかってるよね? 社会人として普通だよ」 「あの……」 「代わりの子を雇うまで、辞めないのが普通、普通」  社長はそのまま話を打ち切り、スマートフォンをいじり始めた。 --- 「……またかあ……」  私は溜息を吐く。もう一か月以上、退職の相談を握りつぶされている。  休み時間にもコピーをしながら、やっぱりやめられないよねと考える。  空の青さがむなしい。  私も営業職として就職したのだが、なぜか私は一人、営業事務として働くことになった。私以外に女性社員(おーえる)が居ないのが原因だと、なんとなく察している。  しかしなぜか営業成績だけは、しっかり営業専門の人と一緒に計算されていた。 「井ノ中くんは相変わらず営業成績が悪いな! もっと真面目に仕事をやりなさい!」 「事務をしながらでも電話営業なり、業務時間外に営業するなりできるだろう!」  そういわれても。  先ほど私に資料を作らせた主任だが、主任は私が作った資料でそれなりの営業成績を収めてる。だがもちろんそれは主任の業績であり、私の業績にはならない。  その時、電話が鳴る。  受話器を上げると苛立った主任の声が聞こえた。
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