第1章/猫又男子のお仕事探し

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 川副さんはあやかしだけど、平和に屋台を開いて頑張って働いていた。  篠崎さんも、他のあやかしの雇用の為に頑張っている様子だった。  彼らは平和に過ごして、あやかしが人間社会から駆逐されないように頑張っている。  私がここで猫さんに負けてしまっては、猫さんが私に危害を加えてしまえば――彼らの『普通』が脅かされてしまう。  ――それに。  私は目の前の猫さんを見た。 「ッ……!」  猫さんは私の視線に身構える。  彼も本当は、この社会にいたい人なんじゃないだろうか。  井ノ中楓(わたし)、落ち着いて。  主任がやらかしたクレーム対応で感情的な人の相手は慣れてるじゃない。 「猫さん。私を今襲っても、何の問題の解決にもならないと思いませんか?」 「……少なくとも俺の霊力は満たされる。『此方』にいられる時間が、長くなる」 「でもどうせ、すぐにお腹がすくんでしょう? 私がどんなに美味しい霊力を持っていようとも、1年、10年って、ずっと満たされていられますか?」 「……」 「そんな短い時間の為に、猫さんの猫生棒に振るのはやめましょうよ」  霊力なんて知らない。あやかしなんてわかんない。
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