第1章/猫又男子のお仕事探し

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 天神に屋台があることだって知らない、私は世間知らずの『普通』のOLだから。  けれど――普通だから。私は困っている彼を、ほおっておけるほど理性的になれない。 「本当は、人を襲うのは嫌いなんですよね? だって私を襲いたいなら、そんな風に宣言なんてしなくていいはずです。後ろからガバっと、爪を立てたら私なんて一発でしょう」 「それは……」 「先日だって、そうです。私に強引にパワーストーン・ブレスレットを押し付けようとして……セールストークを言ってましたけど……本当は、丸暗記したセールストークを口にしていただけですよね」  猫さんの目が見開く。私は確信した。
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