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「ありがとうございます」
膝をついて私に深々と頭を下げる猫さん――改め、夜さん。
「いや、そんな土下座みたいなことしなくても……」
「一生未来永劫貴方に仕えることを誓います」
「ええと……回復するまででいいんですからね? 無理しないでくださいね?」
深夜の大濠公園。
金髪でギラギラしたその筋っぽい男と、よれよれリクルートスーツの女。
そしてその目前で深々と地面に額を擦り付ける若い男。
――だめだこれ、絶対ヤバい修羅場に見える。
「んじゃ、明日改めてうちの会社で仕事と今後の生活についてカウンセリングさせてもらうからな」
「かうんせ……りんぐ?」
「ん。まずは現代社会について学ぶことから始まりそうだな。あやかし職業訓練施設に連絡とっとくか」
「そういうのあるんですね……」
スッスッとタブレットで手際よく段取りを進めていく篠崎さんの隣で、私は夜さんに手を差し伸べる。
彼は私の手を取り立ち上がった。
「心から感謝する」
「そんな何度も言わなくていいですよ」
「これから世話になるから当然だ」
「え、うちで暮らすつもりですか……?」
「違うのか?」
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