第1章/猫又男子のお仕事探し

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「私、会社辞めさせていただけないんですか?」 「まだいうのか、君は」  社長は私に目すら向けないまま、はあ、とこれ見よがしに溜息をつく。 「まだ就職して一年目でそんなこと言ってどうするんだ。外じゃそんなんじゃやっていけないぞ。そんな甘ったれた若者が多いから、最近は少子化だのなんだの……」 「やっていけなかったらそれも自己責任なので、社長には関係ありませんよね」  ようやく社長の目が私へと向いた。猫だましをされたみたいな顔をしている。  というか猫だましという単語自体使うのがちょっと嫌だ。だって猫は可愛いもん。 「普通、そういうことは言わないものだぞ」  普通の言葉に一瞬胸がズキンとする。けれど私はにこりと笑顔を作る。 「普通の会社なら、営業事務しつつ営業成績も取れなんて言いませんよ。ましてや一年目の新人に」 「君。ちょっと思い違いをしていないか?」  立ち上がる社長。私はひるまず、まっすぐ立って頭を下げた。 「生意気を申し上げて、失礼いたしました。ですが私はこの通り社風に合わない社員です。弊社の為にも、私を辞めさせてください」
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