第1章/猫又男子のお仕事探し

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 後部座席から黒猫――夜さんがのぞき込んできていたのに気づいた。 「あひゃあ」  誰も乗っていないと思い込んでいた私は驚く。私の態度に夜さんも耳をピンと立てて驚く。  頭からすっぽりかぶったローブ姿ではなく、彼は真新しい黒いスーツを着ていた。見た目だけは人間と全く変わらない。誠実そうな感じの人に見える。  私たちの様子に篠崎さんが声を立てて笑った。 「気づいてなかったか。さては夜、猫の姿で丸くなってたな」 「はい」 「人の姿で安定するにはまだ霊力が戻り切れていないか。まずは安定しないとだな」  篠崎さんは琥珀色の瞳を私へと向ける。 「夜もあんたのこと心配してたよ。あんたに何かあれば、主を失ってまた野良猫だからな」  こくこくと頷く夜さん。 「へへ、心配してくれるイケメンが二人もいるなんて嬉しいですね。うへへ」 「なんだそりゃ」  夜さんはすっかり顔色も耳の毛並みもつややかで、別猫のように落ち着いた様子だ。
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