第1章/猫又男子のお仕事探し

7/59

67人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
 ふわふわもふもふの、狐の耳としっぽが、強面お兄さんの頭とお尻から生えている。  ゆらゆら。あーなるほどね。そのすっごい金髪は、金髪じゃなくて、狐色というやつ……?  なんだかちょっと可愛いかも…… 「なあ、あんた――」  はい前言撤回。怖い。率直に怖いです。  声を失った私の代わりに――無言で逃げようとしたのは占い師だ。  物騒チンピラ狐さんが占い師のお兄さんの腕を摑まえる。 「逃げんな!!!」 「ッ……離してくれ……!!!」 「だあれが離すかよ!!!! てめえ、一回ならまだしも二回も、天神様のお膝元でやらかすったあ、分かってんだろうな!?ああ!?」  怖い。けれど通行人の人たちは特に気にせず通り過ぎていく。  えっ、こういうの日常茶飯事なの? いや普通じゃないって、怖いよ!? 「辻占やるなら許可が必要だって知ってんだろーが! 人間様の決めた理屈に従いやがれ!! 話はそこからだ!!!」  物騒チンピラ狐さんが腕を掴み、どこかに連れて行こうとしている。  ここで無視していればいいのに――うっかり、私は物騒チンピラ狐さんのジャケットを掴んでしまった。 「あ、あの! 占い師さん離してあげてください……!」
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加