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ふわふわもふもふの、狐の耳としっぽが、強面お兄さんの頭とお尻から生えている。
ゆらゆら。あーなるほどね。そのすっごい金髪は、金髪じゃなくて、狐色というやつ……?
なんだかちょっと可愛いかも……
「なあ、あんた――」
はい前言撤回。怖い。率直に怖いです。
声を失った私の代わりに――無言で逃げようとしたのは占い師だ。
物騒チンピラ狐さんが占い師のお兄さんの腕を摑まえる。
「逃げんな!!!」
「ッ……離してくれ……!!!」
「だあれが離すかよ!!!! てめえ、一回ならまだしも二回も、天神様のお膝元でやらかすったあ、分かってんだろうな!?ああ!?」
怖い。けれど通行人の人たちは特に気にせず通り過ぎていく。
えっ、こういうの日常茶飯事なの? いや普通じゃないって、怖いよ!?
「辻占やるなら許可が必要だって知ってんだろーが! 人間様の決めた理屈に従いやがれ!! 話はそこからだ!!!」
物騒チンピラ狐さんが腕を掴み、どこかに連れて行こうとしている。
ここで無視していればいいのに――うっかり、私は物騒チンピラ狐さんのジャケットを掴んでしまった。
「あ、あの! 占い師さん離してあげてください……!」
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