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「ああ!?」
「あ、あのキツネさん……!」
「なんだ、こいつに金でもとられたか?」
「え、ええと、あの……」
彼は耳を揺らし、私をギロリと見下ろす。可愛いのか怖いのか分からない。
「違うんです。ええと……占い師さんが何かルール違反をしていたのかもしれません、でも、私今、この占い師さんに悩みを聞いてもらって……少しはスッキリした気がするのでどうか、せめて彼には穏便なお話で……」
「ッ!!」
「あ、こら、待ちやがれ!!!」
彼が私に気を取られていたその隙に、占い師は思い切り腕を振り上げ、物騒チンピラ狐さんの手をひっかき、強引に腕から逃れて脱兎のごとく逃げ出した。
新天町の商店街に飛び込まれてしまえば人ごみに紛れ、もう見つけられない。
「ッ!!!! クソ、逃げやがったか……」
物騒チンピラ狐さんはそれ以上追いかけることはなかった。
私は、ふと違和感を覚える。
「……あれ?」
その逃げる占い師さんローブから、変なものがぴょこんと2本飛び出している。
それは二股に分かれた、ぴこぴことした黒猫のしっぽのようで……
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