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「失礼するぞ…」
「伊集院先生…安堂先生の代わりにこの私の様子を診に来たんですか?」
「違う」
俺はベット脇のソファ椅子に腰を下ろした。
紡がドアを閉める音を訊き、話を始めた。
「『御子柴組』の若頭・御子柴壮の事は知ってるか?」
「あ…あの・・・御子柴壮ね…存知ていますよ。彼にはほとほと手を焼きましたから…」
「どんな男だ?」
「・・・組員たちの信頼は厚い男でしたね…女性には優しいですし…モテてました」
「そうか…」
「一人の女性を救う為に単独で夢街に来た時は驚きました…」
「!?」
「女性の名前は確か…莉子と言ってました」
「それは本当なのか?」
「大切な女だから…返して欲しいと…」
大切な女か・・・
俺だって莉子の大切に想っていたのに…
御子柴壮は命を張って、莉子の事を救ったのか・・・
「伊集院先生?」
「なんでもない…」
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