(東京編)プロローグ

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「親猫はどうした?」 「・・・この子は親猫とはぐれてしまったようで」 私が餌を与えている仔猫のミ―は親猫と兄弟の仔猫たちの五匹でいつも行動していた。 ここ二、三日はミーしか裏庭に姿を見せなくなった。 私は慌てて顎までずらしていたマスクを引き上げ、同棲している交際相手・雄平に殴られ、出来た痣を隠す。 彼は私が持って来た猫缶を夢中で食べていた仔猫の首根っこを掴んで、そのまま腕の中に抱っこした。 「コイツ…右目怪我してるな…」 ここは日本の医療の最高峰とも言われるスーパードクターが集う『東亜医科大付属病院』の裏庭。 目の前で仔猫を診るのは、『脳神経外科』のドクター・伊集院和寿(イジュウインカズ)先生。 伊集院千歳(イジュウインチトセ)院長のご子息。
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