(東京編)プロローグ

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伊集院先生はカーテンを閉めて、外からは覗かれないようにしてくれた。 「ありがとう御座います」 「此処に座って…」 彼は医者として患者の私に椅子に座るよう促した。 私も素直に椅子に腰を下ろす。 「マスク外して」 「でも・・・」 「俺に外されたいのか?」 「いえ…」 私は恐る恐るマスクを外す。 伊集院先生は立ったままで長身のカラダを屈め、口許の痣をジッと見つめた。 院内では、『白衣の貴公子』と呼ばれる伊集院先生。 間近に見える彼の端正な顔にドキッと鼓動が跳ね上がった。                
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