新たなる挑戦☆不器用なふたり番外編

13/13
前へ
/13ページ
次へ
「うっ、そっ…それは、むうぅ」  視線をあちこちに這わせて困ったふうを装う恋人に、橋本は大きなため息をついてみせた。 「まったく! 勝利の余韻やら、いきなりの口撃におまえが感じただけだろ」  宮本の下半身から躰を起こし、自分の席に戻った橋本が助け舟を出す。するとお返しをしてやろうと考えたのか、宮本は嬉々として助手席ごと橋本に抱きついた。 「雅輝、ストップだ!」 「え~っ、ここからがいいところなのに」 「どこがいいところなんだ。おまえはこんなところで、ナニをしようとしてる?」 「ナニって、陽さんを気持ちよくさせようと思ったんだけど」 「そんなことをここでしたら、おまえの大事なところをへし折るからな!」  空中でなにかを折る仕草をした橋本の顔は、街灯の灯りを受けているせいか、二割増しに恐ろしく宮本の目に映った。慌てふためきながら運転席に戻る。 「俺を抱きたかったら、とっととインプを発進させればいいだけだろ」 「確かに! ベッドで美味しくいただきますからね!!」  腕を組みながら正論を言った橋本の言葉に、宮本は瞳を輝かせながらアクセルを勢いよく踏み込んだ。ちなみに下半身は露出したままである。  橋本をベッドで抱くために、自宅に向かって急ぐ宮本の真面目な顔と、下半身丸出しのミスマッチな姿に橋本は笑いだしそうになったが、あえて指摘せずに助手席から眺めた。  どんな格好でも愛おしく思える宮本と一緒にいられることに、しっかりとした幸せを感じることができたのだった。 おしまい
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加