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Oh no!
その日は、とてもよく晴れた秋の日でした。王さまが、初めてかつらを脱いだ日になります。 王さまはドキドキです。
今日はおふたりでスポーツ観戦の日です。
王さまと王妃さまは、いつものように堂々とけらいたちに挨拶をします。
「おはようございます。王さま、王妃さま」
「おはよう。」
…けらいたちは、顔を見合せ、目を見張りました。
宮殿の豪華な階段を降りると、国民が集まっていました。「ウワー」と、どよめきがおきました。すごい歓声です。こんなに凄い歓声は初めてです。
そのあとカメラマンたちが一斉に撮影に入りました。カメラマンたちは、我先にと、バシャバシャバシャバシャ…。
「眩しすぎます。王さま」
サッカー観戦では、選手たちも大変盛り上がり、その日は、15対20とゴールラッシュでした。お二人は時々立ち上がって拍手をします(信じて良かった。)王さまはそう思いました。
王さまは、今までにない清清しい笑顔です。帰るとき可愛い男の子が「ピカピカ」と頭を指差し言いました。
王さまは、とびきりの笑顔で笑い返しました。
1日が無事に終わり、ふたりは抱き合いました。
ーー次の日の朝
「Oh no!noーー!」
新聞をご覧になられた王さまは叫びました。
「どういうことだ!」
王さまは騙されたことに腹がたちました。
王妃さまと男のことも、疑っています。
王妃さまはテレビをご覧になっています。
ーー『信じられません!こんなことをするなんて…。』
『世界一眩しいお二人ですね』ーー
テレビからは、ニュースキャスターの驚きの声が聞こえています。
おうさまは…しばらく黙ったままウロウロしています。
すると、静かに、王妃さまにこう言いました。
「あの男の名前は?」
「はい、 ジェームズです。」王妃さまは答えました。
「ほぉ ジェームズ・スミスは君の同級生だったね?あの手鏡にはトリックがしてあった?」
王妃さまは下を向き、うなずきました。
王さまは、マイクを持ったふりをしました。
「かつらを被った感想は?」
「…Oh…最高です。」
「君たちの友情に大変感謝するよ。それから、君の勇気には本当に完敗したよ。ありがとう。感謝するよ。」
ふたりは、ワインで乾杯をしました。
新聞はおふたりの『ツルツルヘッド』の写真を一面に大きく載せていました。
それからは、全世界から注目され、おふたりの人気はとどまることを知りません。
とくに、神対応の王妃さまは、妻のお手本となりました。
王さまは、王妃さまのことを、一生大切にして、いつまでも、ふたりで生きていたいと思いました。
きっとこの日は、忘れられない、もうひとつの結婚記念日になることでしょう。
おしまい
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