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それは、母の浮気相手だった芹沢隆夫(せりざわたかお)の死が原因だった。 その悲報の電話を受けて、母は突然泣き出した。 今ならば分かる。 深い関係だった男が死んだのだ。 悲しくない訳がない。 それがキッカケだった。 男の死。 それで母は私に家事の何もかもを押し付ける様になった。 買い物、料理、掃除、炊事。。 その頃から、母は何もしてくれなくなった。 私はまだ何も出来ない、ただの子供だった。 悲報を受け取った時の母の涙ーー滅多に見ないその涙が心に深い傷を残した。 そう、あの時は母が父以外の男と浮気をしていた事も、私は随分とショックを受けたと記憶している。 だからこそ、何もかもを一人でやっていた。 何も考えたくない。 何も見たくない。 汚らわしい。 そして、私は強く死を望むようになった。 しかし、大人になった私は今、もう自ら死を望むような事はしない。 ただ「私」を見失ったまま、長い年月を過ごしてしまった。 もうどれくらいになるのだろうか? 私ーーその人を探し求めて。。 ーー誰か教えて下さい。。私は誰ですか? ーー私の事を探しています。。
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